ご挨拶

内谷 正文

監督・脚本・原作

「私は薬物を使っていた人間。そして大切な弟を薬物の世界に引き込んだ、だから、薬物やるな!なんて偉そうに言わない!ただ薬物やったらこうなるよって実感こめて伝えたい!」
伝えたいなんて偉そうですね。薬物の怖さ、依存症という病気の現実を観て、感じてもらいたい!そして、自分が薬物の世界に戻らないために活動を続けています。
一度、薬物と関わった人間は一生関わり続けなきゃならない…苦しい現実です。

2005年より薬物依存症の一人体験劇「ADDICTION 今日一日を生きる君」を全国で公演しています。
今回、一人体験劇を元に映画『まっ白の闇』を私の想いに賛同してくれる仲間と共に生み出しました。
映画にすることで、今まで以上に多くの人に薬物や依存症の現実、怖さ、そして人との関わり、家族や仲間の大切さを知ってもらいたい。「苦しんでいる人たちに回復の光があることを知って欲しい」その想いから『まっ白の闇』は生まれました。

薬物依存症は回復はあるが完治のない病気。今日一日、クスリを使わずに生きる!今日一日使わずに止め続ける!その繰り返ししかない!止め続けることが回復への第一歩です。

「今日一日の積み重ね」なんです。

弟は薬物依存症に苦しみ、回復施設に繋がることが出来ました。私たち家族は共依存症に苦しみながらも、家族会に繋がり真っ暗闇のドン底から回復しています。
弟は全てを捨てて、全く知らない土地で“新しい生き方”を見つけ生きています。
私は一人体験劇や映画、体験談などで自分自身をさらけ出すことで回復しています。
「これが私の新しい生き方です。薬物使った人間は、依存、共依存症に陥った人間は新しい生き方を見つけて進むしかない」

依存症という病気は今後、とても大きな問題になります。依存、共依存の根源は人。人と人との関係性が希薄な現代社会に蔓延るのが依存症という病気です。そこからどう回復するのか、これから先をどう生きて行くのか、進んで行くのか!そんなことを考えるキッカケになれたら嬉しいです!

依存症の本人である私。薬物依存症の弟を抱える家族でもある私。二つの視点から描いた『まっ白の闇』
一寸先は闇ではなく光です。
一人でも多くの方に観ていただき、一人でも多くの方と繋がることが出来ますように!

今日一日ありがとうございます。

内谷正文(俳優・映画作家) http://bumi.jp
2005年より全国の学校の薬物乱用防止教室を中心に公演を重ねています。2014年より少年院での慰問公演も開始、2015年より『今日一日を生きる LIVEプロジェクト』を立ち上げ様々なアーティストとコラボレーションを行っています。2016年にはマンハッタンでの一人体験劇の公演も実現するなど活動の場を広げています。
そして、2017年、遂に映画へと……

2005年2月一人体験劇の活動開始
2007年学校公演開始
2009年朝日新聞「人」欄に掲載
2014年NHK首都圏ネットワークでドキュメント放送
2015年テレビ朝日「ワイドスクランブル」 等々
少年院にて公演
2016年9月ニューヨーク マンハッタンでの公演

岩井 喜代仁

茨城ダルク今日一日 ハウス代表

今回の映画の完成に伴う、茨城ダルクからのメッセージとして、映画が出来たことを本当に嬉しく思います。 「まっ白の闇」という映画を一人でも多くの社会の人たちに見ていただき、薬物依存症からの回復を知ってもらい、出来ることなら今苦しんでいる薬物依存症者に希望を与えられれば、と思います。

薬物依存症をテーマにした映画が出来るなど、日本では考えられないことでしたが、今回の内谷監督たちの熱意で完成し、皆に見ていただけることを大変嬉しく思います。依存症の現実については、最近国も色々と法律を作り対処していこうとする姿は見えますが、海外での状況と比べると日本はまだまだ遅れています。 薬物依存症に関しては、ようやく刑罰半分、治療半分という一部執行猶予制度というものが新しく出来、変わり始めようとしているところであります。 皆様がこの映画を見ることによって薬物問題の現実を考えていただけるようになって欲しいと思います。

今日一日という意味は、薬を断つ時に、まずは1時間止めてみようということから始まり、今日だけ使わないという目標を持ち、使わずに一日を過ごすことにより薬物から少し遠ざかり、一日辛抱できたのだから、また翌日も一日使わない生き方を積み重ねていくのです。 だから今日一日には大切な意味があります。 一年、十年を目標にすると、疲れてしまいますから原点は今日一日から始まります。

依存症と社会との関わりは、アルコール依存症の治療から始まり、アルコール基本法が出来、進んでまいりました。 今はカジノ法案によりギャンブル依存症の問題に国は対処し整備しようとしておりますが、ギャンブル依存の症状をどこで見分けどのようにして確認、対処するのかが不明であります。 社会がギャンブル依存を認知し、どう変わるのかは分かりませんが、薬物依存症については、まだまだ現実を知ってもらうことの難しさを痛感しているなかで、社会との関わりは思うように進まないのが実情です。 薬物依存症からの回復を、これから社会の皆様がどう理解し、依存症者が社会の中で失敗しても寛容に受け入れてもらい見守っていただけるようになれば社会での回復はあるものと信じております。 これから先、薬物依存症者やその家族に対するプログラムも様々なものが出来てくると思いますが、同時に今までと違うとらえ方も増えていくでしょう。 ダルクでの生活で気づかされることは、社会復帰できる人は良いですが、病気の世界で社会を生きていけなくなった人たちが茨城ダルクにはたくさん来ます。 これからは薬物依存と他の病気の合併症で社会を生きられなくなった人たちと一緒に生きていくことに私の将来をかけてまいりたいと思います。 どうか、社会の皆様がこの映画を見て多くのことを感じていただければ嬉しく思います。

感 謝

岩井 喜代仁

岩井喜代仁
薬物依存症者回復施設、茨城ダルク今日一日ハウス代表として約20年にわたり薬物依存症の仲間や家族の回復に携わり続けている。